スライディンググローブを導入する際に、ナイロン製やポリエステル製の洗濯が可能なタイプと、ポリエチレン製の使い捨てタイプがあり、どちらを購入したらよいか迷う方もいると思います。


せっかく、職場に導入するのなら職員の方がどんどん使ってくれるようになってほしいですよね。
今日の記事では、スライディンググローブを選ぶ際のポイントを、導入時の裏話を交えてご紹介します。これから施設にスライディンググローブを導入しようと思っている方は、必見です。
洗濯可能タイプと使い捨てタイプのどっちを導入すればよいか?
結論から話すと、筆者は使い捨てタイプから導入をしていくことをおススメしています。
実際にこちらの施設では、使い捨てタイプを導入することになりました。
理由として次の3つがあります。
- 職員が新しい道具に慣れるのには、時間がかかる
- 定期的に話題にしないと、忘れ去られてしまう
- 欲していないところに与えられても、重要視されない
①職員が新しい道具に慣れるのには、時間がかかる
新しい道具の使い方に慣れ、日頃のケアで実践できるようになるには、時間がかかります。スライディンググローブ定着に向けた実践例のように、使い方のレクチャーや持ち歩くルールを決めること、持っている人を増やすことなど、購入してから、職員の一人一人が実践できるようになるには、クリアすべきことも多いため、自然と時間がかかります。
この際に、使いにくいという声が多くなってしまっては、定着に向けた取り組みはうまく進みません。スライディングシートをポケットに入れて持ち歩いた際に、「蒸れる」というネガティブな意見があったため、できるだけ小さくたたむことができるポリエチレン製の使い捨てタイプを選ぶことにしました。
②定期的に話題にしないと、忘れ去られてしまう
使い捨てタイプは50枚入りで一箱に入っています。もともと、感染症の予防のために一度使ったら破棄することを想定してつくられているため、何度も使用すると穴が開いてしまうことがあります。その穴のあいたタイミングが重要です。穴が開くと、新しいものに交換したくなります。そうすることで、定期的にスライディンググローブを意識することができるようになります。
③欲していないところに与えられても、使われない
そして、一番大事なポイントはこれかもしれません。
職員の方はある日いきなり、スライディンググローブを見せられ、使うように言われます。しかし、それは昨日までは日常業務に使用していなかった。異質な道具です。使ってくださいと言われても、自分たちにとってメリットがなければ使うようにはなりません。ただのアクセサリーになってしまっては元も子もありません。
スライディンググローブを使うことで、「自分も楽だし、利用者さんにも喜んでもらえた。」という経験をして、「自分が提供したいケアを実現するにはスライディンググローブが必要だ。」と感じてもらう必要があります。そのために、一度渡して終わりにするのではなく、常に使用を心がけられるように、壊れてなくなる仕組みが必要と考えています。
購入時に次の一手を打つ
1人一枚、スライディンググローブを支給するようになった際、必要になる経費はどれほどでしょう。人数の多い職場ほど、高額になります。それだけのコストを払ったのに、職員がスライディンググローブを使わなくなってしまっては、元も子もありません。
いままで、様々な福祉用具を導入してきたにもかかわらず、倉庫のオブジェをなってしまった経験のある事務長ほど、今回も以前の二の舞になってしまうことを恐れてしまいます。そこで、腹をくくれる方であればこの心配はいらないのですが、過去の苦い経験というものは、いつになっても一歩踏み出すことを躊躇させてしまいます。
そこで、購入の打診をした際に、次を一手を打つことが重要です。
まず、最初に「洗えるスライディンググローブを一人一枚支給してほしい。」と、伝えました。
初めに、高い要望を依頼することで、おそらく難色を示されると思います。そこで、次の手として、「では、使い捨てのスライディンググローブを試し、買い替えにかかるコストが、洗えるスライディンググローブを購入することよりも高くなったら、再度検討をお願いします」と伝えました。
そうすることで、導入初期にかかる費用を抑え、スライディンググローブを試すことができます。そして、どんどん新しいスライディンググローブが使われているということは、それだけ日々のケアで実践できるようになってきている証拠にもなります。
その時には、きっとスムーズに洗えるスライディンググローブの購入を進めることができるようになるでしょう。
いかがでしたか。少し、心理学のテクニックを応用することで、自分の要望を通すことができるようになりました。職場で、スライディンググローブを導入してみようと思っている方は、ぜひ駆け引きの時に使ってみてください。
今回も、お付き合いいただきありがとうございました。
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