介護の現場に関わっている方なら
知らない人はいないほどメジャーな福祉用具の一つであるスライディングボード
「今も使っている」という人や「触ったことある」という人
中には「職場にあるけど、誰も使わずホコリを被っているよ」
という人もいらっしゃると思います。
今回は、そんなスライディングボードについて
- スライディングボードの特性と適応
- スライディングボードを用いた移乗方法とポイント
- スライディングボード導入検討時のポイント
- スライディングボードが使われない理由と解決工夫
以上について解説したいと思います。
スライディングボードについて

素材は木やプラスティックなどでできており、表面は滑りやすく裏面は滑り止めの加工がされています。
車イスからベットや車などの移乗に使え、介護保険の福祉用具貸与の対象用具です。
スライディングボードの適応
被介助者がある程度座位が保つことができ(手すりを持てば座れる程度)、かつ、立位移乗を行うには重介助という方が適していると言えます。
また殿部に褥創のある方は皮膚のずれや摩擦によって悪化させる可能性がある方はスライディングボードの利用は避けるべきです。
スライディングボードを用いた移乗方法
では早速、スライディングボードを使用しての移乗方法をお伝えしていきたいと思います。
これは動画を見たほうがわかりやすいと思うので、
スライディングボードの使用方法を解説した動画を見つけたので、こちらをご覧ください。
このようにボードの上を滑らせることで腰への負担なく移乗介助が行えます。
動画で解説していますが、移乗時に特に注意するポイントは
- ベッドと車いすの高さ調整
- 移乗前、浅く座ることと足の位置
- ボード差し込み時は、お尻の半分くらいまで入れる
- 腰を押すようにしてボード上を滑らせる
この4つのポイントを意識するだけで、驚くほど使い方が楽になります。
是非参考にしてみてください。
スライディングボード導入検討時のポイント
これはスライディングボードを導入したいなぁと検討している方に向けたものですが、
どんな道具でも環境によって正しく使うことが出来ません。
せっかく買ったのに使われなくなってしまいホコリをかぶってしまう前に
購入前にチェックしたほうが良いポイントをお伝えしたいと思います。
・ベットの高さが調節可能なこと
スライディングボードは滑り台のように重力の力も少し使って非介助者を滑らせて移乗を介助します。
そのため、移乗する先が高すぎると移乗は困難になりますし
逆に、低すぎると勢いがつきすぎて危険です。
移乗先をおよそ3cmほど低く設定することで安全で安楽な介助が行えます。
そのためにも、高さを調節できるベッドはほぼ必須といえます。
・車イスの肘置きが外れること
こちらもほぼ必須のポイントとなっています。
移乗の際、スライディングボードを車いすの座面とベッドに橋渡しをする形でス設置しなくてはいけないのですが、
普通型車いすのようにアームレストが跳ね上げられたり、外したりできないタイプでは、そもそもスライディングボードが設置できない。
または、できてもとても不安定で移乗時のリスクが高くなってしまいます。涙
そのため、利用したいと思っている被介助者の車いすを確認するとともに、跳ね上げ式のもへ変更を検討してください。
・マットレスの種類
これは実際に使ってみないと体感できないところですが、
柔らかすぎるマットレスだとスライディングボードが使いにくいんです。
なぜかというと
マットレスにスライディングボードを設置し、その端に被介助者のお尻が乗ります。
この時マットレスが柔らかすぎると、お尻と一緒に沈み込んでしまい、
お尻とは反対側のスライディングボードが浮き上がってしまうのです。
これを抑え込みながら移乗を行なうのが結構コツが必要です。
そのため、最初はマットレスは柔らかすぎないものを使用している方を対象に
導入を検討したほうが良いと思います。
スライディングボードが使われない理由と解決工夫
最後に一番重要な点です。
いざスライディングボードを購入しても使われずに倉庫の中でホコリをかぶってしまうようでは意味がありません。
購入したのであれば、しっかりと運用され使われ続けることが望ましいわけです。
ここでは、スライディングボードが倉庫に眠ってしまう理由とその解決方法について話していきたいと思います。
理由① サイズが大きく運ぶ際の手間がかかる
この理由が一番多いのかもしれません。
実はこのスライディングボード、一般的に出回っているものだと
結構サイズ感が大きく。スケートボードくらいの大きさがあります。
そのため、持ち運ぶのが手間に感じてしまい、結局使われなくなってしまう…
といったことが多くあります。
ですが、スライディングボードにはサイズが様々あり、画像のようにコンパクトなサイズも販売されています。

自分はこのサイズのものを使用しているのですが、大きなものより融通が利き、使いやすい印象です。
勿論持ち運びも楽で、トートバックに収まるので在宅での介護へもっていくことも可能となっています。
目的に合ったサイズを購入し、使うことへの手間を極力なくすことが
ノーリフティングケアの習慣づけのカギかもしれません。
理由② しまっておく定位置が遠くいちいち取りに行くのが面倒
これもよく聞く話ですが、
介助をするのにいちいち遠くの置き場まで取りに行くのが面倒で結局使わなくなっていってしまう…
といったことも多くあるそうです。
こういった場合のおすすめの方法としては
一番介護が大変な方の部屋付近、
もしくは、究極ベッドサイドに置いておくことが一番だと思います。
まずは、一人にターゲットを絞って、介助負担の軽減を図っていき、
その使い勝手の良さに、慣れてきたら他の方の時も使っていこうという声が挙がり、自然と使われるようになってくるはずです。
理由③ 使い方がわからない。
これの解決方法は簡単です…
この記事を読み返して、ぜひ実践してみてください(笑)
何事も初めは大変に感じ、使いたくないと感じてしまうかもしれませんが、
要点を抑えて使い続け、慣れることによって今までの介護のような感覚で、
自然と道具を使う介護が身についてくるはずです。
是非、介護を受ける人、そしてこれを読んでいるあなたの身体のために
ノーリフティングケアな介護を身に着けてみてください。
以上今回はスライディングボードについてお伝えいたしました。
ありがとうございました。
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