現場の方向け!道具のいらないノーリフティングケアとは? 〜車椅子乗車編〜

お伝えしたいこと

 この記事は「介護現場で働く人」に届いて欲しいと願って執筆しております。介護のやり方を見直して利用者様の隠された力を引き出すことができれば、介護負担が楽になるかもしれません。

 声かけの仕方や介助方法などを見直して、利用者様・介助者の双方が笑顔になることができます。道具のいらないノーリフティングケアを明日から実践してみましょう。

根拠

 利用者様の本来の力が発揮できずに、過介助になっているケースは多くあります。声かけでご自分で動かすことができるのに、介助で全て行ってしまう場面にもよく遭遇します。

 利用者様の本来の力が発揮できることで、利用者様の筋力の維持や自己効力感(自分でできる自信)の向上にも繋がり、笑顔になることができます。そんな利用者様の姿をみて、きっと介護職員の方も嬉しくなるのではないでしょうか。介助負担も減り、精神的にもゆとりが持てるようになります。

 具体的な事例をみていきましょう。今回は車椅子乗車でお話していきたいと思います。

具体的な事例

 2年前に脳梗塞を起こして手足の麻痺を持つ75歳男性の田中秀樹さん(仮名)は言語障害と視覚障害があり、言葉を発したり、よく見えにくいという障害を負っています。

 挨拶や声かけには頷きで反応してくれるので、理解はしてくれていそうだなと介護職員の佐藤さん(仮名)は考えていました。

 田中さんは日中はホールでテレビをみて過ごすことが多いです。あまり塗り絵などはせず、お一人で過ごす時間を好んでいるように思います。車椅子へ乗り移ったり、トイレを済ませる時は介護職員の介助が必要です。

 現在は車椅子への乗車は介護職員が2人で行っています。お尻が上がりにくく、時間がかかってしまうので、2人介助で「えいやっ」と行っています。

 佐藤さんは先日、「利用者さんの潜在能力をもっと引き出そう!」という勉強会に参加していきました。そこで言われていたことを、昼食を摂りながら田中さんに当てはめて思い返していました。

「田中さんって入浴介助の時とかはしっかり立てるんだよね・・。立てるってことはある程度足の力は残っているのかしら・・。」

「車椅子の乗り移る時も、足に力が入ればいいのに・・。立てるだけの足の力がうまく使えていない、ということもあるかもしれないわね・・・。」

「車椅子に乗り移る時はいつも時間がかかっちゃうから2人でやっているけど、そういえば手で車椅子を持ってもらったり、相手のペースに合わせて”待つ”ということは、やっていなかったな・・・」

先日の研修会では「支持物をもってもらう」、「見えにくい人には手を誘導して握らせてあげる」、「相手のペースで動いてもらう」ということを話していました。

その日の午後、佐藤さんは田中さんをホールに起こす際に、「田中さんの力を引き出す」という視点で介助を行うことにしました。

◯佐藤さんが行ったこと

・田中さんの手を車椅子の肘掛けに誘導して握ってもらう

・田中さんの動きのペースに合わせて、待つ時間を作ってみる

上記のことをやってみると、普段よりお尻が浮くようになりました。お尻が浮いてくれれば、1人の介助でもできそうでした。佐藤さんは田中さんのお尻を動かしてあげることで、安定して車椅子に乗車することができました。

◯田中さんに起こった変化

・支持物につかまったことでバランスが取れて安心できた

・安心して動き出せるまでの時間があり、ゆとりを持って動くことができた

「これだけの工夫で1人でも車椅子乗車ができるのね・・。これなら田中さんの足の力も付きそうだし、この方法を他の職員にも伝えてあげよう。」

道具は何も使用していません。利用者様の手の誘導や声かけ、相手のペースを守る、などの工夫で介護負担が大きく軽減されました。お互いが楽に動けるので「笑顔」が増えるきっかけになりそうですね。

結論

 声かけの仕方や介助方法などを見直してみましょう。利用者様・介助者の双方が笑顔になることができるかもしれません。今回は車椅子乗車の例を紹介しました。 利用者様の本来の力を引き出せると、みんなが笑顔になれます。

道具のいらないノーリフティングケアを明日から是非、実践してみてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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